建設年:1910(明治43)年
構造・階数:煉瓦造3階建
建築面積:83㎡
現在位置:D09 文化財収蔵庫
登録年:2017年
>旧制第二高等学校について
旧第二高等学校書庫は、片平キャンパスの中央の木立の中に建つ赤レンガの建築です。
東側に入り口を持つ方形平面の3階建レンガ造で、レンガ積みに黒瓦葺きの寄棟屋根を乗せた特徴的なデザインです。四隅と壁体中間に建物の補強を目的とした添え柱が設けられ、
下の階に行くほど太くなって安定感を増す構造になっています。
基礎は壁面とは色の違うレンガを周囲に廻し、切石を敷き、その上にレンガ壁体をイギリス積みで積み上げています。
軒にはデンティル(歯飾り)がつけられ、また各壁面には各階の窓台の縁に壁面とフラットに一体となった色替わりの赤褐色レンガによって水平の装飾帯ストリングコース(蛇腹)が施されています。
東妻側にセグメンタルアーチを上部に架した出入口を設け、外側に両開きの鉄板扉、内側には引き込みガラス戸を用いています。各壁面は添え柱とストリングコース、窓の配置のアレンジによって、様々な表情を作り出しています。
内部は、木造で独立柱を立てて床を支え、木造トラスの小屋組みとなっています。各階とも間仕切りのない漆喰仕上げの内壁の1室となっており、南東部に木製階段が設けられています。
建築主は旧制第二高等学校です。第二高等学校は1887(明治20)年に第二高等中学校として仙台に設けられたものに始まります。 1894(明治27)年に高等学校令により第二高等学校に改まり、第二高等学校は1947(昭和22)年の学校教育法の公布により、1949(昭和24)年新制東北大学に包括されました。
第二高等学校の校舎は1889(明治22)年8月から1925(大正14)年7月までの36年間、現在の片平キャンパス内に設置されました。本建築も第二高等学校の敷地内に建設され、現在に至っています。 建築年は『宮城県の近代化遺産-宮城県近代化遺産総合調査報告書-』(平成14年3月 宮城県教育委員会)によると1910(明治43)年です。 『第二高等学校一覧』によると、この書庫が建物配置図に現れるのも明治43〜44年誌からです。 その後1925(大正14)年に所有者が東北帝国大学に移管されました。移管後から現在まで考古学関係の収蔵庫として使用しており、現存する第二高等学校関係の数少ない遺構です。
現在分かっている改修等としては、1980(昭和55)年に床張り替え、建具調整、壁補修等の内部改修、2001(平成13)年に漏水補修等の屋根および外壁改修、
2012(平成24)年には東日本大震災による被害の修復として外壁クラックの補修・脱落した瓦の葺替えが行われていますが、外壁のレンガは建設当初のもので旧状を良く保っています。
第二高等学校創設以来の老樹である付近の枝垂桜と合わせて第二高等学校の歴史を現代に伝えるとともに、明治維新後、全国に建てられたレンガ造建築の歴史を伝える遺構であり、仙台市内には他に例のない貴重な財産です。