登録有形文化財
9.旧東北帝国大学法文学部第二研究室
Formerly Second Building of the Faculty of Law and Literature at Tohoku Imperial University
旧東北帝国大学法文学部第二研究室(現在のD03 会計大学院研究棟)は、片平キャンパス正門から伸びる道路の中程の南側に面するD02 東北大学史料館のさらに南奥に位置する建築です。
国有財産台帳によると東北帝国大学法文学部第二研究室として、1926(大正15)年に起工、1927(昭和2)年に完成しました。建築主は東北帝国大学であり、当時営繕に係る責任者は営繕課長の小倉強でした。
ほぼ同時期、本建築の南側に新築された法文学部講義室(現存せず)に対面するように配置され、法文学部が使用することとなった旧制第二高等学校の西棟と東棟(いずれも現存せず)と合わせた4つの建物で中庭を形成するよう計画されました。
また、北側には同じく小倉強が設計した附属図書館が本建築に先駆けて1926(大正15)年に竣工しています。
南側を正面とした方形の平面を持つ3階建ての鉄筋コンクリート造建築です。屋根は陸屋根、南面中央部に外壁から突出させて玄関を設け、この部分を3階まで立ち上げ、その上端部に切妻破風を乗せ、変化をもった立面としています。
内部は平面中央に廊下を配した中廊下式の平面で、廊下の両側に研究室などを配しました。ファサードに変化を与えている突き出した部分には階段に面して倉庫とトイレが配置されています。
『宮城県の近代化遺産-宮城県近代化遺産総合調査報告書-』(平成14年3月 宮城県教育委員会)によると、第二次世界大戦中、空襲に遭い、3階の研究室のいくつかが焼失しましたが幸い延焼を逃れています。
国有財産台帳によると1949(昭和24)年、屋上に木造の研究室を増築しましたが1981(昭和56)年にはこれを撤去し、当初の姿を取り戻しています。
文系学部の川内キャンパスへの移転後は学生部や留学生センターとして利用、近年では2001(平成12)年に内部改修、2004(平成16)年に耐震改修、外部・内部の一部改修を行い、現在は会計大学院の研究棟として使用されています。
増築されていた頃
文系学部中庭 1965(昭和40)年3月
また、玄関照明は2003(平成15)年に市民団体「片平キャンパス近代建築トラストファンド」が建設当初のデザインに近いものを復元し寄贈、設置しています。
現存する東北帝国大学法文学部の唯一の校舎建築であるとともに、片平キャンパスの変遷を示す建築として重要です。
復元された玄関照明
玄関両脇の石細工