青葉山丘陵一帯の豊かな自然環境の中に整備する青葉山新キャンパスは、個々の施設のデザインが単体として優れているだけでなく、建物はもとより道路・オープンスペース等の屋外環境も含めた全体として、ユニバーシティパークを中心に調和のとれたキャンパスの実現を目指します。そのため、統一的な考え方によって計画・デザインされたキャンパスの全体像のもとで個々の施設のデザインが展開されることにより、魅力的なキャンパスの形成を図ります。
△北東より青葉山新キャンパスを見下ろす
大学のキャンパスは、知的創造活動と知的資産を共有する場であり、また新たな研究分野の創出・進展のために、異分野の刺激に満ちた総合的で一体的なキャンパスが求められます。
そのため学生・教職員、国内外の研究者、市民および企業などとの交流が円滑に行える環境の整備が不可欠です。建物と、道路・オープンスペースを一体的に捉え、建物内の交流スペースだけでなく、屋外においても人が集うキャンパスの創造を図り、「環境」と「知」の共有を踏まえ地域社会をはじめ産官学および国際社会とのより円滑な人的交流の場として整備します。
キャンパスは、教育・研究の場であると同時に多様な人々の出会いと交流を通じて大学の文化が形成される場であることから、大学文化形成の誘因となるキャンパスの賑わいが創出されるような空間形成を図ります。特に歩行者交通の主軸となるキャンパスモールについては、沿道の建物やキャンパスコモンズと一体となり、にぎわいを創出するための空間を形成します。
学生・教職員にとって、キャンパスは人生のある時期を過ごす大切な空間です。そのため眺望や景観資源など特性を活かしつつ、人々の記憶に残るような空間形成を図ります。またキャンパスの各所には、景観形成ポイントとなるランドマークを配置し、その存在が新キャンパスへの誇りと愛着を持つことへとつながるよう計画します。
これら新キャンパスで目標とし、実現されていく空間が、既存キャンパスの空間デザインにも波及し、青葉山キャンパス全体としての統一を図ることを目指します。
△南西方向から青葉山新キャンパスを見下ろす
大学としての風格と先進性を持ったアカデミズムを体現する建築デザインを目指すとともに、ユニバーシティパークのスケールと呼応した大らかさと、ヒューマンスケールをあわせ持ったデザインとします。また、青葉山の自然環境と調和する素材・色彩を用い、特に人の目の届く低層部には暖かみのある、年月とともに風合いを増すような素材を選定します。
△デザインコントロールされた建物の立面図
基本方針実現のために骨格となる建築デザインのコードを策定し、1つのキャンパスとしての統一性のあるデザインを目指します。
ロケーションおよび用途によって各建物のデザインをコントロールします。アカデミックゾーン内の研究・教育施設はキャンパス全体の景観のベースであり、デザインコードの適用を受ける建物とします。特に来訪者を迎えるステーションプラザに面する施設は、デザインコードを踏まえ、顔となる外観デザインを検討します。
またユニバーシティパーク内に配置される全学共用施設などはキャンパス全体の景観に変化やアクセントを与える役割を持つため、デザインコードにこだわらず質の高いデザインとします。
外壁面を基壇部・中層部・頂部の三層構成とし、分節によってヒューマンスケールな外観をつくります。基壇部は回廊形状とし、天候に左右されることなく自由に歩ける歩行空間を創り、これに面してロビーなどの共用スペースを設け、賑わいを表出させます。頂部については、スカイラインを揃えることによって1つのまとまりをつくります。
キャンパスは起伏に富んでいるため、縦方向の要素の繰り返しにより連続したリズムをつくり、一体感のある外観をつくります。また壁面による圧迫感を軽減させるために、ロビーや交流スペースなどをきっかけとして、ファサードを分節します。
敷地は高低差があるため、建物の屋上面が視界に入り、キャンパスの景観に大きな影響を与えます。そのため、屋上への設備機器設置などについては、景観に対し十分配慮します。また、低層部分の屋上面については、屋上緑化などの検討を行ないます。
片平キャンパスの歴史的建造物で使用されているアースカラーのスクラッチタイルなど大学としての歴史・風格を継承する素材・色彩とします。