ランドスケープ・アーキテクチャーとは、その地域における気候、風土、植生、地形、景観、交通、歴史、その他の様々なデータや整備する施設や屋外環境等の建築的な要件等を総合的な見地から検証し、その敷地に最も相応しい整備計画を策定するものです。
青葉山新キャンパスマスタープランの策定にあたって、本学では、青葉山の豊かな自然環境に十分に配慮した計画とするため、国内の大学で初めて世界的なランドスケープアーキテクトであるSasaki Associates.inc※を起用しました。
このマスタープランの中でキーとなるランドスケープの要素は、建物によって規定されたオープンスペース群と敷地中央に位置する「ユニバーシティパーク」と名付けた広々とした自然のエリアです。
ユニバーシティパークは、樹木に深く覆われた峡谷と遠くまで広がる素晴らしい眺めを持つ高台を包含しており、歴史的資源やオープンスペースと同様、1つの重要なキャンパスの魅力となることでしょう。
ここでは、青葉山新キャンパスのランドスケープ上、重要な役割を担う各オープンスペース群の整備方針やイメージスケッチをご紹介します。
※Sasaki Associates.Inc(米国 ボストン)
米国を中心に国際的に業務を展開しており、キャンパス計画、ランドスケープデザイン、都市デザインの分野では数々の賞を受賞するなど世界的にも高い評価を得ています。
主な実績:ハーバード大学、スタンフォード大学、コロラド大学など
▽オレンジ色の文字をクリックすると、それぞれのスケッチや解説がご覧になれます。
学外からの来訪者が、最初に大学のアカデミックな空間と出会う、青葉山キャンパス全体の顔としてステーションプラザを位置づけます。
新キャンパス全体のゲートとなる、この空間は地下鉄青葉山駅と一体的なデザインを行ないます。地下鉄出入口をサンクンガーデンと一体化することで、ユニバーシティパークへの視線を遮らない構成とします。また、イベント開催時には活動の場とすることが可能な設えとします。
プラザに面して店舗及び全学共有施設を想定しており、一般市民と学生・教職員が集い、語らい、憩うことのできる賑わいの場です。
ステーションプラザからキャンパスコモンズ、ユニバーシティパークへは連続的な空間として整備します。ステーションプラザに面して、インフォメーションセンターやタクシー待機所などを整備します。
インフォメーションセンターは、来訪者が新キャンパス内の情報を得る場所であるとともに、学内バス・地下鉄など交通の乗り換えのための中心施設となります。
ステーションプラザ周辺に必要な、地下鉄駅の排気塔や階段・エレベーターの位置に関しては、関係機関との協議・調整を行ないます。
新キャンパスのメイン動線となるキャンパスモールは、竜ノ口沢に沿って配置され、ユニバーシティパーク・キャンパスコモンズと一体となった、緑とにぎわいあふれるキャンパスライフの中心の場となります。活気やにぎわいが伝わるように設えた研究・教育施設群を、キャンパスモールに面して配置します。キャンパスモールのユニバーシティパーク側には、モールのにぎわいを引込むように図書館・講義室棟・食堂などを配置し、キャンパスモールの街路空間を豊かにします。
緊急車両が学内バスなど一部車両通行を可能としますが、原則は歩行者優先道路とし、建物と一体となった広場的空間として極力段差を設けず整備します。既存青葉山キャンパスを踏襲し、新キャンパスにおいてもケヤキを主体とした並木による豊かな街路空間を創出します。
将来的には、キャンパスモールを東に延伸していくことを視野に入れた計画とします。
キャンパスコモンズは、キャンパスモールに沿って展開する芝生の広がりのある空間です。視線を遮らない程度のマウンドを散策路沿いに設け、シークエンスに変化を与えます。また、キャンパスコモンズ内の樹木はあまり密度を高くせず、ヒルトップへの気持ちの良い眺めを生み出します。
キャンパスコモンズに面して生活支援サービス施設などを配置し、屋外の食事や語らいなどの憩いの場とします。
キャンパスモールとキャンパスコモンズの境界には、ベンチとして利用できるシートウォールを設け、にぎわいを創出します。
敷地の起伏を活かし、丘の裾野をぬっていく緩やかな上り勾配の道路です。
キャンパスモールと同様に歩行者を優先した道路であり、三居沢に面した緑地に沿って配置されます。歩くに従いユニバーシティパークからヒルトップへの眺望が変化する、豊かなシークエンスを持つ道路です。
各街区内にはS字道路との間に緑地や広場などのオープンスペースを確保し、施設内のにぎわいを受け止める憩いの空間とします。特にキャンパスモールの正面に当たる部分は、デザイン的に配慮された特徴あるランドマークとします。
ヒルトップは、ユニバーシティパークに面した高台に位置し、キャンパスを一望できる豊かな眺望を持つ、芝生の広場を中心とした交流の場です。また、キャンパス内の各所から見える景観上重要な場所であり、新キャンパス全体のランドマーク性を持った外観デザインの建物を計画します。
サイエンスパークを訪れる人を迎える広場であり、学生・教職員との産学交流の場となるよう設えます。
歩道をイノベーションスクエア内に取り込み、街区全体を公園のような設えとします。
カフェテリアは北側に寄せて配置し、南側にまとまったオープンスペースを確保します。自然環境を味わうことが出来る、飲食スペースとミーティングスペースなどを設置します。