青葉山新キャンパスのユニバーシティパーク
東北大学のキャンパスが日本では珍しいほどオープンであるということをご存知でしょうか?。東大や京大、阪大、北大、宮教大などいずれのキャンパスも周囲をグルリと囲う壁があり、そこに開けられたいくつかの門(ゲート)によって出入りが管理されています。これに対して例えば川内・青葉山キャンパスなどは、この一帯の土地が米軍進駐軍から返還された際に、東北大学キャンパスとして国から譲り受ける条件として、「旧二の丸周辺(文系のある川内南地区)には周囲に柵を設けず、市民に解放すること」という取り決めがなされたという経緯もあり、川内南キャンパスのみならず青葉山キャンパスも、昭和40年代に移転した当初よりキャンパスを囲う壁が一切無く、ど真ん中には市バスが通る公道が走り、校舎内部以外は24時間いつでも自由にアクセス可能な構造になっています。
そして、この川内・青葉山キャンパスに隣接する県有地ゴルフ場を東北大学の新キャンパス用地として取得しようとした際にも、県議会から、「県民、市民にも広く開放し、憩うことができるような、緑地の中の開かれた大学として整備すること」という条件が提示されました。これを東北大学は尊重し、「 新キャンパスにおいては、ユニバーシティ・パークとして市民が緑豊かなキャンパスに親しみつつ自由に散策できるように配慮し、これまでより以上に積極的に市民に開放し、また、最先端の学術研究や文化に触れる交流モールを設けるなど、大学と市民との出会いを図り、新たな都市文化の育成に努める。」というキャンパス憲章を掲げ、この精神のもとに新キャンパスを整備してきました。特に地下鉄青葉山駅周辺には柵を一切設けていませんので、キャンパス中央のユニバーシティ・パーク (竜の口沢沿いの広大な緑地)にも24時間自由にアクセスできる都市公園のようなキャンパスになりました。
一方で、川内北キャンパスや片平キャンパスなどは、近年まで塀や柵が全周に渡って張り巡らされ、閉鎖的な門で出入りが制限されていましたが、2008(平成20)年および2012(平成24)年に行われたリニューアル工事において、エントランス周辺の塀を広範囲に取り払い、オープンで自由に出入り可能な現在の姿へと生まれ変わることができました。
片平キャンパス入口廻りのビフォー・アフター
以上のように、東北大学のキャンパスは広く開かれた構造になっていますし、税金で維持管理されている土地ですからもともとが公開空地のようなものです。フットパスに興味をお持ちの皆さん、どうぞご自由にキャンパス内を散策もしくは通り抜けしてウォーキングをお楽しみ下さい。そしてキャンパス内の図書館や展示施設、植物園、公開講座、講演会、あるいはカフェ、レストラン、売店なども是非ご利用下さい。それらが充実した楽しい一日を過ごす一助となることを願っています。
東北大学特任教授 キャンパスデザイン室副室長 杉山丞
(青葉山・八木山フットパスガイドブック(2020.3)への寄稿より)