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片平キャンパス
中学生がご案内!東北大学史料館
column 2018.12.25

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東北大学の片平キャンパスには、東北大学の公文書や教職員・学生の資料など、大学の歴史に関する資料を保存・公開し、 そしてこれらを活用した教育・研究活動を行っている「東北大学史料館」があります。
史料館の2階は展示室になっており、東北大学の歴史をテーマにした常設展や企画展などを誰でも見ることが出来ます。

館内の様子

柱がなく天井の高い2階展示室。元は東北帝国大学の図書館でした。一時閉館されていた時代は教職員が昼休みにバレーボールをしていたこともあったそうです。 学友会ボート部より寄贈されたボートを中心に据えたダイナミックなレイアウトになっています。

【常設展】歴史のなかの東北大学

東北帝国大学の誕生  
常設展では、東北大学の誕生の経緯などを詳しく知ることが出来ます。
東北大学の前身である東北帝国大学が創設されたのは1907年。日本は日露戦争が終結したばかりで財政がひっ迫していたため、古河財閥や宮城県などによる寄附を受けて設立されました。
当時古河財閥は足尾銅山の鉱毒事件で世間から批判を受けていたため、大学の設立に寄附をすることにより、世間からのイメージアップを図る意図があったようです。

 

△東北帝国大学の設置決定について書かれた当時の内務大臣原敬の日記。原敬は古河財閥の顧問も務めていた

アインシュタインを教授に!?  
東北帝国大学は建学当時、あのアインシュタインを教授に迎えようとしていました。
その時に提示した年収は現在の金額で1億5000万~6000万円ほど。当時の大学総長の年収の倍程度の年俸だったといいます。
結局アインシュタインを教授に迎えることはできませんでしたが、1922年12月3日にアインシュタインは東北帝国大学を訪れ、その時のサインが展示されています。

△アインシュタインのサイン

日本で初めての女子大生  
東北帝国大学は、1913年、日本で初めて女子学生の入学を受け入れました。
これに関して、国とのやり取りについての展示があります。
東北帝国大学の入学試験に女子が数名出願していることを知った文部省は、帝国大学への女子の入学は「重大事件」であるからと、大学にこの件に関する説明を求めます。 その文書が送られたのが1913年8月9日。
これに応じ、大学が文部省を訪れたのは8月25日。実に2週間以上の間が空いています。なんと大学はこの間に、女子学生を含めた学生への「合格発表」を済ましてしまったのです。 これを既成事実として文部省に伝え、そのまま女子の入学が実現することとなりました。
東京大学、京都大学に女子学生が初めて入学したのは第二次世界大戦後。東北大学の対応がいかに時代に先んじていたかがわかります。

△女子の東北帝大受験に関する文部省から大学への照会文書

魯迅記念展示室

 

△魯迅の「脈管学」のノート。藤野先生により赤字で丁寧に添削されている

東北大学史料館には、中国を代表する作家の魯迅(本名:周 樹人)についての展示もあります。
魯迅は、仙台初の外国人留学生として1904年に東北大学医学部の前身である仙台医学専門学校に入学しました。 魯迅は解剖学講座の藤野厳九郎教授にたくさんの事を教えてもらい、その当時の思いを短編小説「藤野先生」の中で綴っています。
東北大学史料館には当時の成績表など、貴重な資料が残されています。
魯迅はなぜ医学の道から文学の道に変えたのか。それは、魯迅が仙台医学専門学校2年生のときに見た日露戦争に関する幻灯写真が深く関わっているといいます。 当時使用された幻灯用のガラス板も展示されています。

△魯迅(周樹人)の成績は142人中68番と記されている

△当時の幻灯用のガラス板

企画展

史料館ではその他、様々な企画展も開催されます。
取材時(2018年11月)は旧制第二高等学校についての企画展が行われていました。 その展示品の一部を紹介します。

応援団の高下駄  
応援団のみが履くことを許される高下駄。対部ボートレースなどの行事では弊衣破帽のバンカラスタイルにこれを履いた団長が応援パレードで市中を歩いたりしました。

文机  
旧制第二高等学校で第五代校長を勤め、「雄大剛健」の校風を樹立した三好愛吉が使用していた文机。2018年に御子係から寄贈されたものです。

第二高等学校帽章  
二高生が制帽に付けた帽章。この帽子は卒業生が結成した二高ゴルフ会で着用されていたもの。

いかがでしたでしょうか。東北大学史料館に来れば、東北大学の歴史がよくわかる品々をたくさん見ることが出来ます。
みなさんもぜひ一度東北大学史料館に来てみてください。


この記事は、職場体験で東北大学を訪れた仙台市立広瀬中学校の生徒3人の協力のもと作成しました。
2018年12月25日
(テクルペ「東北大学コラム」より転載)