logo

青葉山キャンパス
中学生がご案内!理学部自然史標本館
column 2017.12.08

>キャンパスマップ

古生物エリア

皆さんは自然史標本館に行ったことはありますか?自然史標本館には、古生物、鉱物などのいろいろな種類が展示されていますが、ここでは古生物を紹介していきます。
古生物エリアは、1階の半分と2階にあります。その中でも注目は、ウタツギョリュウという古生物です。 ウタツギョリュウは約2億5000万年前に生息していた世界最古級の魚竜で、自然史標本館には、ウタツギョリュウの完模式標本が展示されています。 完模式標本とは、世の中に初めてその生物の存在を発表する論文に用いられた標本のことです。

ウタツギョリュウの化石

△ウタツギョリュウの化石

ウタツギョリュウはイルカに似ているようですが、ウタツギョリュウにはイルカにはない体のつくりがあります。 それは、後ろ足(ヒレ)です。イルカは水の中で泳ぐスピードを速くすることを追求した結果、足が尻尾にくっついたため、イルカには足がなくなったそうです。

ウタツギョリュウの化石

△ウタツギョリュウとイルカの違いの写真

次に注目したいのは、フクイラプトル・キタダニエンシスという古生物です。フクイラプトルは、白亜紀前期に生息していたアロサウルス上科に属する肉食動物です。 福井県勝山市北谷で発掘され、日本で初めて学名のついた恐竜です。大腿骨の長さから全長4.2mほどであったと考えられ、大きな手の爪や、走るのに適した長い後肢が特徴です。
このように大昔の生き物のことがわかる化石が数多く展示されています。そんな貴重な化石を見に、一度自然史標本館を訪れてみませんか?

フクイラプトル・キタダニエンシスの化石

△フクイラプトル・キタダニエンシスの化石

岩石・鉱物エリア

「岩石」ときいて何を思い浮かべますか?火山岩や堆積岩から隕石まで、幅広い種類、年代の岩石が、この自然史標本館にはそろっています。 人間にとって有用な金属を多く含む岩石を「鉱石」といいますが、その中でも、15種類の金属を含む宝のかたまり「黒鉱」は、日本列島の形成と深い関係があり、 展示されているのは、東北地方の中央に位置する「深沢鉱山」などで産出されたものです。 海底火山の活動に伴い形成され、鉱物の結晶が小さく複雑に入り混じった「黒鉱」は、皆さんの目を引くことでしょう。

チムニー状硫化鉱石

△チムニー状硫化鉱石:
 海底火山に伴う熱水噴出孔に沈殿したもの


黒鉱

△黒鉱

天然に産する無機質の結晶を「鉱物」といいますが、ここには、鉱物の一つ、世界最大のダイヤ原石「カリナン」(模造品)も展示されています。 重さ3106カラット(621.2g)で、鉱山の所有者の名前から「カリナン」と名づけられました。 原石はアムステルダムでカットされ、大粒の2つ「アフリカの星」は、イギリス王室の王冠と杖にかざられています。

カリナン

△ダイヤ原石「カリナン」(模造品)とカット模型

また、水晶の展示も多くありますが、無色透明なものだけでなく、紫水晶や煙水晶、紅水晶など様々な色や形のものがみられます。
このように、よく目にするものから、外国産の珍しいものまでたくさんの展示があります。中には、実際に自然界に存在するのかと目を疑う美しいものもあります。 これらは、古生物の化石などとはまた違った感動を与えてくれるはずです。皆さんもこの冬、自然史標本館に訪れてみませんか?

石鉄隕石

△石鉄隕石

鉄隕石

△鉄隕石

展示されている鉱物の数々

△展示されている鉱物の数々

2階エリア

古生物や岩石・鉱石以外にも自然史標本館には目を引くものがたくさんあります。

外邦図  
地図は、地球表面各部分の自然や人間活動の様子を伝える、最も基本的な情報源で、様々な研究や調査に活用されています。 日本では明治から第2次世界大戦時まで軍事目的で周辺国の地図がも作られていました。 軍により作成された地図は機密扱いとされていましたが、敗戦時に焼却処分される際、その一部が緊急避難のような形で持ち出され、十数万枚が東北大学に保管されました。 当時はその存在がないものとされていたそうです。


ホーチミン(ベトナム)の地図

△ホーチミン(ベトナム)の地図

宇宙  
宇宙のコーナーには、「はやぶさ」の模型や小惑星「イトカワ」からサンプルを採集するテクノロジーについての展示があります。 「イトカワ」は極めて小さいことが観測結果から予想されており、かつ、天体全体がひとかたまりの岩で、その表面は硬いことが想定されていました。 そこで仮に表面が硬くてもサンプルを採集できる方式が検討されました。 それが、探査機をタッチダウンさせ筒の中で弾丸を発射させて地面を破砕し、破片を回収する方法です。 その機構は東北大学の吉田和哉教授が開発しました。


はやぶさの模型

△はやぶさの模型

みちのく博物楽団の紹介  
みちのく博物楽団は、ミュージアムや自然科学の面白さをたくさんの人々に、もっと知ってもらうことを目標に結成された学生主体のミュージアム支援団体です。 東北大学総合学術博物館を拠点に、ミュージアムの楽しさを発信する活動を行っています。 たとえば、自然史標本館内でできるスタンプラリーや「みどころBOOK」というパンフレットを作成し、子供から大人まで楽しめるような活動を行っています。


みちのく博物楽団の大沼さん

△みちのく博物楽団の大沼さん

自然史標本館の詳しい情報は自然指標本館webページ


この記事は、職場体験で東北大学を訪れた仙台市立田子中学校の3名が作成しました。

2017年12月08日
(テクルペ「東北大学コラム」に3回の連載を転載)

詳しい情報は自然指標本館webページ